【突然肩に激痛が走る】原因の一つ石灰沈着性腱板炎とは

石灰とは、「あの」白線引きの石灰のこと。人の体の中でも作れるものなんですね。

「肩がさび付く」肩こりは、このように表現されますね。ところが、ときに肩にはさびどころか石灰が付くことがあるのをご存知でしょうか。肩に石灰が着いた場合、肩こりのようなモヤモヤとした違和感どころでは済まされず、夜中眠っている最中に突然激痛が襲うといいます。これは、「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれている症状です。

その原因は一体なんなのでしょうか?そして肩に石灰なんかが着いてしまって本当に大丈夫なんでしょうか?次から次に沸いてくる疑問にお答えしていきます。

特徴は夜中、肩に激痛が走る

肩に石灰がたまってしまうなんて、にわかには信じがたい症状かもしれません。ところが、整形外科の世界ではこの「石灰沈着性腱板炎」は40代から50代の女性を中心とする中高年に多い症状として知られています。


良く見られる特徴は、夜中寝返りを打ったのをきっかけとして肩に激痛が走るようになるといったもので、ぶつけたわけでもないのに突然肩が赤くはれたり、関節がまったく動かせなくなったりすることもあります。安静にしていても痛みが治まることはなく、夜中に一人、とんでもない病気になってしまったと思い悩む患者が多いといいます。ところが、この石灰沈着性腱板炎はなにも珍しい病気ではなく、上記のとおり40代から50代の女性を中心に多く見られるものなのです。


なぜ、肩に激痛が走るのでしょうか。原因は肩の関節に付着した石灰にあります。石灰というと、カルシウムが主な成分です。骨の新陳代謝のためや、神経伝達物質の材料として、人間の体内では意外とさまざまな使われ方をしています。この石灰が何らかの原因で肩の腱板に付着し、時間がたつと固まって石灰化していきます。石灰がどんどんたまって膨らんでくると痛みは徐々に強くなり、ついに腱板から滑液包内に破れ出る時に激痛となってしまうのです。


腱板に石灰が付着する原因ははっきりしていませんが、加齢やホルモンバランスの変化が影響すると考えられています。肩に激痛が走って動かせなくなるという症状は『五十肩』と良く似ています。実際、五十肩だと思って病院を受診する人も多いようです。しかし、五十肩は石灰化を伴わない炎症のことを指し、レントゲン写真に写る石灰の影を探す機ことで、比較的容易に判別できます。


 


夜間に突然現れる激痛が特徴


石灰沈着性腱板炎の激痛は、何の前触れもなく、夜中に突然現れることが多いようです。その一方で、腱板に石灰が付着していても全く自覚症状がない場合もあって、レントゲンに石灰の影が映ることで初めて発覚することもあるようです。


症状は、日本整形外科の分類によると、


(1)発症1週~4週の間に激しい痛みを覚える急性型


(2)1~6カ月の間症状が持続する亜急性型


(3)半年以上運動障害や痛みが残る慢性型


の3つに分けられ、その症状の形態はさまざまなものです。


(参考)日本整形外科学会「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」



基本は自然治癒です

激しい痛みを伴いますが、ほとんどの場合、手術をしなくても自然と回復していきます。石灰は人間の体内で数週間から数ヶ月のうちに自然に吸収されていくためです。そのため、病院での治療は、肩に痛み止めの注射をうち、動かないように固定してしばらく様子を見る「保存療法」がよく行われています。


また、急性型で耐え切れないほどの痛みがある場合、はやく痛みをとるために、腱板に針をさして石灰の膜を突き破り、中に溜まっている液状の石灰を吸引するという治療方法も良く行われます。その後、しばらくは安静にして過ごすことになります。


慢性型では、石灰が時間の経過とともに固まって、石膏のような状態になって時々強い痛みが再発するようになることがあります。こうなると針でさして石灰を吸引することは不可能です。自然に吸収される見込みが薄く、肩を動かしにくい状態が続くようなら、手術で摘出することも選択肢に入ります。


いずれにせよ、何らかの治療法で痛みが取れたら、肩の拘縮を防ぐため、リハビリを行うことになります。


一方、腱板に石灰が付着していたとしても、痛みや動かしづらさなどの症状が全く現れないこともあります。この場合、様子を見ながら自然吸収を待つだけでも十分かもしれません。


筋力強化+カルシウム摂取で予防を

肩に石灰がたまる原因ははっきりしていませんが、加齢による筋力の衰えが原因の一つとして影響していると考えられています。実際、治療後の再発防止のためのリハビリでは、入浴等の温熱療法と筋力の強化を組み合わせて行います。


予防のために、肩を冷やさないような服装を心がけましょう。入浴はできるだけ毎日行い、肩までの全身浴をオススメしています。さらに、肩を動かす習慣を持つことが、石灰沈着性腱板炎だけではなく、五十肩などの予防にもつながります。たとえば、こんなトレーニングを取り入れてみましょう。


低負荷でもいい肩のトレーニング


1 ペットボトルに水を入れ、真ん中をつかんで両手に持つ


2 腕を降ろした状態から肩の高さまで、体の横でペットボトルを持ち上げる


 


肩まわりの筋肉は小さいため、500mlの小さなペットボトルでも十分な負荷となります。別に息が上がるほどしんどい運動をする必要はなく、小まめに肩を動かして、極端に運動量が少ない時期を作らないことが肝要です。


また、肩に石灰が析出してしまうきっかけは、カルシウム不足にあるとも言われています。人間の体内でカルシウムが不足すると、骨の一部が溶け出してカルシウムを補填します。ところが、ここで全てが使われるわけではなく、行き場を失ったカルシウムが、筋力が低下し、損傷を起こしている部位に析出してしまうことがあるのです。肩の腱板は、常に高い力学的ストレスがかかっていることから損傷しやすく、石灰が析出してしまうこともあるのではないかと考えられています。


また、副甲状腺に良性・悪性の腫瘍ができたときにもカルシウム濃度をコントロールしている副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、カルシウム濃度の上昇を引き起こしてしまうことがあります。このような隠れた病気の発見につながることもあるため、肩の違和感は放置せず、早めに医療機関を受診することをオススメします。


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