肩こり閑話放題 お風呂の歴史

いい湯だな~

 

一日の終わりはやっぱりお風呂。

お風呂に入ると、体がほぐれて疲れが溶けていく気がします。

じっくりゆっくり浸かって、体の芯まで温めましょう。

前回、効果的なお風呂の入り方で紹介したとおり、体を芯から温めるには10分から15分はお湯に浸からないといけないそうです。

何もしないのは手持無沙汰。

お風呂の歴史でも語りながら時間をつぶしませんか?

仏教とともに伝わった風呂

日本にお風呂が伝わってきたのは6世紀。仏教伝来の頃といわれています。


仏教では沐浴の功徳が説かれ、身体や魂の穢れを落とすために沐浴が行われていました。寺の主要な建物を表す【七堂伽藍】の中には、塔や鐘楼といった堂々たる建築物と同列に浴堂が名を連ねています。浴堂とは体を清める浴室のこと。当時の寺にとって浴室はそれほど重要な施設でした。湯に浸かる入浴は、仏教における儀式のひとつだったのです。


奈良の東大寺には現存する最古の浴槽が保存されています。別の窯でおよそ1000 Lのお湯を沸かし、鉄湯船と呼ばれる2000 ~3000 Lの大湯船に移し替える大掛かりなものでした。仏教を広めるために、一般大衆にも無料で入浴を施していました。


水が大変貴重だった当時のことです。身体を温め汚れを落とすことができる入浴で、一気に大衆の信仰を集めることができたに違いありません。



入浴の施しを受けた人々はお布施を包むようになり、これが現在の入浴料の始まりだといわれています。その後も入浴は七病を除き七福を得るという教えとともに、日本人の習慣として根付いていくのです。


仏教以前は「入浴」ではなく「みそぎ」が主流だった

ここで一つの疑問がわきます。


日本人は仏教伝来以前はお風呂に入らなかったのでしょうか?


そんなことはありません。入浴という文化は仏教とともに日本に伝来してきましたが、日本には古来から「みそぎ(禊)」の文化がありました。


百人一首には次のような句があります。


 ―――風そよぐならの小川の夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりける


また日本神話の中で、黄泉から帰ってきたイザナギノミコトは穢れを落とすために「みそぎ」を行います。現代でも、不祥事が発覚し立場が危うくなった政治家が選挙に勝ち立場を安定させることを「みそぎを済ませる」というように、みそぎには穢れを取り除く通過儀礼という意味合いがあります。


みそぎは「水そそぎ」が語源といわれ、水を浴びる儀式。今では修行としておなじみの滝業もみそぎの一種ですし、新春に神輿を担いで海に入る各地の祭りもみそぎが元になっています。さらに温泉に入ることもみそぎの一つの形でした。古代の日本人は定期的にみそぎを行っていたので、入浴の文化が浸透する以前も比較的清潔だったようです。


また、みそぎには「生まれ変わる」という意味もあったようです。温泉に浸かって「あ~生き返る~」と思わず漏らしてしまうのは、もしかしたら日本人のDNAに刻まれたプログラなのかもしれません。最近ではプチ湯治が人気。


「風呂」は蒸し風呂のことだった。桶風呂は「湯」


温泉旅館の脱衣所の入り口にかけられている「ゆ」の暖簾。何気なしに通過しがちですが、実はこの文字にも歴史があります。「男風呂」「女風呂」ではダメなのです。


江戸時代中期まで風呂といえば「蒸し風呂」。釜に並々と湯をためたものは「湯」と呼んでいました。暖簾が看板代わりとして使われるようになったのは江戸時代初期なので、当時、温泉などのお湯屋を表す看板は「ゆ」の文字でなければならなかったのです。


江戸時代の銭湯である「銭湯」は「戸棚風呂」という蒸し風呂の一種です。熱く焼いた石に水をかけて湯気を出して上半身を蒸らし、下半身は膝ほどの高さの湯につけてるという仕組みで、半分風呂、半分サウナのようなものでした。いまの銭湯とはだいぶ様子が違いますね。


一家にひとつ内風呂があるのは東京オリンピックのおかげ?


さて、ようやく庶民の家庭に内風呂が普及したのは高度成長期を迎えた後でした。普及のきっかけは1964年の東京オリンピック。戦後日本で初めて行われる国際的な一大イベントに合わせて、急ピッチでホテルを用意する必要がありました。この工期短縮に必要不可欠なのが、ホテルの客室に欠かせない風呂のプレハブ化です。工場でほとんど組み上げてしまうユニットバスが生産されるようになりました。


オリンピック後にはユニットバスが大量生産されるようになり風呂の価格は大幅に低下。内風呂が庶民にも手が届く物になったのです。集合団地に採用されたり、高度成長期のマイホームブームに支えられ、内風呂が広く普及しました。


しかし一家にそれぞれ内風呂が普及したことで銭湯は減少。広い風呂が好きな筆者にとっては少し寂しい状況です。


さて、目前に迫った東京2020オリンピック。政府は2020年に向けて訪日外国人観光客の数を4000万人と2016年の2倍にすることを目標にしています。すでに各地の温泉旅館は外国人で大賑わい。バブル崩壊後さびれていた温泉街も復活ののろしを上げつつあります。


今度のオリンピックは日本の風呂事情にどのようなインパクトを残すのでしょうか?


一風呂好きとして非常に楽しみです。


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