どうしてボキボキしない【ソフトなカイロ】が増えているのか

カイロは派手な音がするというのは昔の話。いまや鳴らさない施術が主流です。

「ボキボキしないソフトな施術」

「ボキボキ鳴らさないので安心」

 

街中やインターネット上にこんな広告を出すカイロプラクティック施術院(もしくは整体院)が増えています。

ボキボキと派手な音を鳴らしながら施術をするイメージが強かったカイロプラクティック。

しかし、いまや音を鳴らしながらする施術は危険とまで言われるようになり、そのイメージは大きく変わりつつあります。

 

施術の現場で一体何が起きているのでしょうか。

関節が鳴る仕組みとは?

ポキポキという音は関節内に生じる真空が原因という説が有力。理論上、どの関節でも鳴らすことができる。関節話法は実現可能だ。


首を反らしたときの「ポキポキ」という音。


腰を左右に振ったときの「ゴリゴリ」という音。


骨を大きく動かすと、私たちの体から軽快な音が響くことがあります。


クラッキングと呼ばれるこれらの音は、関節の内部から響いているようです。


 


実はクラッキングが起こる仕組みは100%解明されているわけではありません。


いくつかの仮説が提唱されていますが、その中で最も有力なものは関節内に発生した気泡から音が響くというものです。(参照:Wikipedia


一体どういうことなのでしょうか。


私たちの骨は関節部で直接ぶつかり合っているわけではなく、関節腔というわずかな隙間で隔てられ、その隙間は滑液と呼ばれる潤滑油で満たされています。


骨が急に動くと関節腔が変形して内部の容量が大きくなります。


すると瞬く間に内部の圧力が低下、滑液の一部が蒸発して真空に近い気泡が発生します。


ご存知のように真空は周りのものを強くひきつける性質があります。


周囲の滑液が真空に流入し、ごく小さな気泡が一気に消滅するとき、衝撃波とともに「パン!」という乾いた音が鳴ります。


これがクラッキングの仕組みだと考えられているのです。


 


「気泡から音が鳴る」というと想像しがたいかもしれませんが、自然界にはこの現象を狩りに利用している動物がいます。


暖かい海域に生息するテッポウエビです。


テッポウエビの仲間は巨大なハサミを勢いよく閉じることで、ハサミの周囲に気泡を発生させることができます。


この爆音を利用して獲物の動きを止めています。


ボキボキしないソフトカイロが増えている

話を本筋に戻しましょう。


いったいなぜ、各地のカイロプラクティック施術院は代名詞ともいうべきボキボキ骨格矯正をアピールしなくなったのでしょうか。


そこには行政の指針が大きく関係していると考えられます。


 


厚生労働省ではカイロプラクティックをはじめ、整体やあん摩マッサージ、鍼灸などの施術法を医業類似行為に分類しています。


これらの医業類似行為に関する通知「医業類似行為に対する取扱いについて」では、カイロプラクティックについて、


頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。


として、ボキボキと音が鳴る骨格矯正法を禁止する必要性を明らかにしています。(※参照:医業類似行為に対する取扱いについて


この通知はあくまで内部の指針としての文章であり、法的拘束力もなく違反したからと言って罰則も規定されていません。


しかし、国民生活センターに寄せられる主義による健康被害の相談件数は増加傾向にあり、2007年から2012年の5年間で4000件以上に上っています。(※参照:手技による医業類似行為の危害


 


テッポウエビの狩りと同様に、クラッキング時には周囲に強い衝撃が伝わっていると考えられます。


特に首の周辺には体を動かすうえで重要な神経系が集中しているため、事故が起こった場合健康被害に発展してしまう可能性も否定できないのです。


施術師の多くが加入する日本治療協会の会員保証内規には、保証されない場合として


頸椎に対するスラスト法その他これに類する療法を行ったことにより生じた賠償責任


を挙げ、首に対して行うボキボキ矯正を賠償の保証対象外だと定めています。(※参照:会員保証内規


このような例外規定は、それだけボキボキ矯正による健康被害が多いことの裏返しだいうことができるのではないでしょうか。


 


もちろん、ボキボキと音が鳴る骨格矯正のすべてが危険というわけではありません。


カイロプラクティック発祥の地、アメリカでは音が鳴る矯正もごく当たり前に行われています。


しかし、アメリカにおいてカイロプラクターは国家資格で、ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)を取得するためには膨大な勉強時間が必要なのです。


また、アメリカではカイロプラクティックの施術現場でもレントゲンを撮って施術を行っています。(日本では整体院でレントゲンをとることはできません。)


正確な診断と専門性があるからこそ、アメリカではボキボキと音のなる施術を提供できているのです。


カイロの本場アメリカではドクターオブカイロプラクティック(D.C.)の国家資格が必要


「音が鳴ったほうが効果がある」というわけではありません

関節音はあくまで副次的なもの。鳴らないから効かないというわけではない。


健康被害の増加を受けて、最近ではボキボキしない施術を提供するカイロプラクティック院が増えています。


カイロプラクティックの主流が、矯正する骨に大きな力を加えて急激に動かす施術から、ゆっくり矯正するソフトな手技に変化したのです。


 


長くカイロプラクティックを愛用していたなじみ客の中には、「音がしないとちゃんと効いている気がしない」と音がしないソフトな施術に不満を漏らす人もいます。


しかしボキボキという音は、ただ単に骨が動いたときに鳴っているだけに過ぎません。


かいろぷらくターも鳴らそうと思って鳴らしていたわけではありません。


音がするから効く、音がしないから効かない、というような単純な問題ではないのです。


 


厚生労働省が言及しているように、とくに首回りには体を動かす重要な神経が集まり、強い力を加えると健康被害へのリスクが高まります。


障害が残ってしまうケースも多く、一生後悔することにもなりかねません。


 


自分の体のこと。


慎重な判断をしたいものです。


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